新型コロナウイルスワクチンの正しい知識について、その2

前回は新型コロナウイルスワクチンの接種状況や特徴、接種回数やその間隔、有効性について説明しました。特にワクチンの安全性やアレルギーについて様々な報道がなされ、実際に患者さんや医療スタッフからもよく質問を受けます。
そこで、今回は新型コロナウイルスワクチンの安全性や接種当日の注意事項、アレルギー、また接種後の注意点などについてお話します。

安全性や副反応について
ファイザーワクチンの臨床試験では以下のような副反応が確認されています。2回目の接種のあとや比較的若い人に多いです。具体的な副反応として、打ったところの痛み・腫れ 84%、頭痛 55%、発熱 14%、その他だるさ 63%、筋肉痛 38%、寒気 32%、関節痛 24%、吐き気 1%、リンパ節の腫れ 0.3%があります。
副反応についていろいろな報告を聞くと不安になるかもしれません。しかし、免疫反応がしっかりと起こっていることを示す症状ばかりです。(起こらないと効いていないということではありません。)大概、接種して3日以内に症状が出て、1-2日以内に治まります。つらいときは解熱剤/痛み止めを使用しても問題ありません。
また、まれに起こる重大な副反応として、ショックやアナフィラキシーがあります。アメリカでの報告では100万回に数回程度アナフィラキシーが報告されています。これはインフルエンザワクチンによるアナフィラキシーと大差ない結果ですし、他の薬や食べ物でも起こることがあります。なお、本ワクチンは、新しい種類のワクチンのため、これまでに明らかになっていない症状が出る可能性があります。接種後に気になる症状を認めた場合は、接種医あるいはかかりつけ医に相談しましょう。万が一、ワクチンの接種によって健康被害が生じた場合には、国による予防接種健康被害救済制度がありますので、お住まいの各自治体にご相談ください。

予防接種を受けることができない人、注意が必要な人
下記にあてはまる方は、本ワクチンの接種ができない、または接種に注意が必要です。当てはまるかどうかや、ワクチンを受けて良いか、ご不明な方は、その病気を診てもらっている主治医にご相談ください。
また、当てはまると思われる方は、必ず接種前の診察時に医師へ伝えてください。

受けることができない人
・明らかに発熱している人(※1)
・重い急性疾患にかかっている人
・本ワクチンの成分に対し過敏症(※2)の既往歴のある人
・上記以外で、予防接種を受けることが不適当な状態にある人
(※1)明らかな発熱とは通常37.5℃以上を指します。ただし、37.5℃を下回る場合も平時の体温を鑑みて発熱と判断される場合はこの限りではありません。
(※2)アナフィラキシーや、全身性の皮膚・粘膜症状、喘鳴、呼吸困難、頻脈、血圧低下等、アナフィラキシーを疑わせる複数の症状。

注意が必要な人
・抗凝固薬(ワーファリン、DOACなど)使用中の人、血小板減少症または凝固障害(血友病など)のある人
・過去に免疫不全の診断を受けた人、近親者に先天性免疫不全症の方がいる人
・心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある人
・過去に予防接種を受けて、接種2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状がでた人
・過去にけいれんを起こしたことがある人
・本ワクチンの成分(※)に対して、アレルギーが起こるおそれがある人

妊娠中、又は妊娠している可能性がある人、授乳されている人は、接種前の診察時に必ず医師へ伝えてください。

※本ワクチンの成分
▷有効成分
・トジナメラン(ヒトの細胞膜に結合する働きを持つスパイクタンパク質の全長体をコードするmRNA
▷添加物
・ALC-0315:[(4-ヒドロキシブチル)アザンジイル]ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカン酸エステル)
・ALC-0159:2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド
・DSPC:1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン
・コレステロール
・塩化カリウム
・リン酸二水素カリウム
・塩化ナトリウム
・リン酸水素ナトリウム二水和物
・精製白糖

接種当日の注意事項
接種前に、ご自宅で体温を測定し、明らかな発熱がある場合や体調が悪い場合などは、接種を控え、接種を受ける予定の施設にご連絡ください。ワクチンは、通常、三角筋(上腕の筋肉)に接種するため、肩の出しやすい服装でお越しください。接種を受けるための手続きや場所などについては、「新型コロナワクチンの接種についてのお知らせ|厚生労働省 (mhlw.go.jp)」又は「医療従事者等への接種について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)」をご覧ください。

ワクチンを受けた後の注意点
本ワクチンの接種を受けた後、15分以上(過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を起こしたことがある方や、気分が悪くなったり、失神等を起こしたりしたことがある方は30分以上)、接種を受けた施設でお待ちいただき、体調に異常を感じた場合には、速やかに医師へ連絡してください。(急に起こる副反応に対応できます。)注射した部分は清潔に保つようにし、接種当日の入浴は問題ありませんが、注射した部分はこすらないようにしてください。当日の激しい運動は控えてください。

ワクチンについては日々情報が更新されます。新しい情報が入ったらまたお知らせしますね。まずは正しくワクチンを知りましょう。

 

【参考文献】

こびなび
https://covnavi.jp/
厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_00184.html
国立国際医療研究センター病院HP
http://www.hosp.ncgm.go.jp/isc/vaccines/020/index.html
首相官邸HP
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html
ファイザー社の新型コロナワクチンについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_pfizer.html
厚生労働省HP、予防接種健康被害救済制度
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/
厚生労働省HP、接種についてのお知らせ
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00218.html
厚生労働省HP、医療従事者等への接種について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_iryoujuujisha.html