新型コロナウイルスの変異株 ガンマ株

ブラジルで最初に見つかった変異株「ガンマ」は、日本では、2021年1月6日にブラジルから到着した渡航者4名から検出されました。その後、国内での感染も報告されています。ガンマ株の特性についてまとめました。

 

ガンマ株が「501Y.V3」と表記されるワケ

イギリスで最初に見つかったアルファ株の主な変異は「N501Y」、南アフリカで最初に見つかったベータ株の主な変異は「N501Y」と「E484K」と説明しました。
実は、ガンマ株の主な変異は、ベータ株と同様に「N501Y」と「E484K」になります。
そのため、アルファ株を「501Y.V1」、ベータ株を「501Y.V2」、ガンマ株を「501Y.V3」と表記することがあります。
アルファ株、ベータ株、ガンマ株と呼ぶと、まったく別の変異を起こしたように感じるので、「501Y.V~」のほうがわかりやすいかもしれません。

 

ベータ株とガンマ株の違いは?

主な変異だけを見ると、ベータ株とガンマ株は同じですが、実際にはそのほかにも変異をしているところがあるので、2つの変異株には違いがあります。
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症対策推進本部のまとめによると、ベータ株の感染力は従来株の5割程度高い可能性があるとされていますが、ガンマ株は、1.4倍~2.2倍高い可能性を示唆しています。感染力の強さには幅があるものの、ベータ株よりも感染力は強くなっている印象です。
一方、従来株に比べての重篤度を見ると、ベータ株は重症化しやすい傾向にあり、入院時死亡するリスクが高い可能性を指摘されていますが、ガンマ株は、従来株よりも重症化しやすいといった証拠は今のところ出てきていません。

 

ガンマ株は再感染するリスクがある?

ガンマ株に関して、一つ気になる報告があります。それは、従来株に感染した人が、ガンマ株に再感染したというものです。
一般には、一度感染すると、そのウイルスに関する抗体ができて、かかりにくくなると考えられていますが、ガンマ株にはそうした常識を打ち破る何か特別なものがあるのでしょうか?
残念ながら、くわしいことはまだわかっていません。再感染の報告に関しても、現在のところ多数報告されているわけではないので、今後の調査が待たれます。

 

62の国と地域で確認!

2021年5月25日のWHO(世界保健機構)の報告書によると、196の世界中の国や地域のうち、62の国や地域でガンマ株が確認されています。155の国や地域で確認されたアルファ株、111の国や地域で確認されたベータ株よりは少ないものの、かなりの地域に広がっていることがわかります。
WHOでは、これら3つの変異株について、「(感染拡大などが)懸念される変異株」として監視を続けています。