新型コロナウイルスの変異株について

新型コロナウイルスの猛威はなかなか収まりません。少し感染拡大が下火になってきたかなとホッとしたのもつかの間、「変異株」が出現し世界中で感染拡大が再燃しています。
しかも、変異株は1種類ではなく複数出現していますし、さらに今後も出現する可能性は大きいので、心配はつきません。
まずは、ウイルスの特性となぜ変異するのかをまとめてみました。

 

ウイルスは単体では生きていけない!

私たちを恐怖に陥れている新型コロナウイルスですが、実は、単体では生きていけないという特性があります。
微生物であるウイルスは、遺伝子(DNAまたはRNA。コロナウイルスの場合はRNA)をたんぱく質(外殻)で覆っているだけのもの。とても単純な構造です。
ウイルスは自分で栄養を摂取して、それをエネルギーに代える活動は行えません。そのためウイルスは単体では生きられないのです。
では、どうしているのか。生きるために、ウイルスはほかの動物の生きた細胞内に入り込むのです。

 

生命活動をしないのに、なぜ増殖できるの?

単体で生きられないほどひ弱に見えるウイルスなのに、なぜどんどん増えていくのでしょうか?
ウイルスは単体では生きられないために、生きた細胞内に入り込むと説明しましたが、細胞内に入ったウイルスは、そのままおとなしくしてはいません。
細胞内に入り込むと、遺伝子を包んでいたたんぱく質をはずし、遺伝子を細胞内に放出します。
放出された遺伝子は、細胞内で遺伝子情報を複製して、新しい遺伝子をつくります。新しい遺伝子がつくられると、それぞれをたんぱく質が包んでガードし、新しいウイルスとなるのです。こうして複製された新しいウイルスは細胞内から出ていき、また別の細胞内に入り込むというわけです。
これを繰り返すことにより、ウイルスはあっという間に増殖していくのです。

 

なぜウイルスは変異するのか?

ウイルスは増殖するために、遺伝子情報を複製すると説明しましたが、大量に複製している過程でミスが生じ、一部は元の遺伝子情報とは違ったものに複製されてしまいます。これが「変異」です。
ウイルスが意図的に勢力拡大のために変異していくのではなく、複製の精度がほかの生物よりも劣るため、ミスしてしまった結果なのです。
ミスによりできた変異ウイルスは、すべてが今話題になっているような感染力が強かったり、重症化率が高かったりするものばかりではありません。たくさんできた変異ウイルスの中で、ウイルスが勢力を拡大するためにより適した特性を持っているものだけが広がっているのです。
それゆえに、私たちにとっては厄介であり、従来の新型コロナウイルスよりも“てごわい”ということになります。