コロナ禍における上手な医療のかかり方について

現在、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるっています。そんな中、受診控えや、風邪症状が出たときにコロナかも?心配、どうしよう、といった声を聞きます。
現在コロナ診療を行っている医師の立場から、正しい知識と、適切な医療機関への受診についてご案内させていただきます。

◇熱や咳が出たらどうすればよいの?

(1)症状が出たら医療機関を受診しましょう

通常冬には、季節性インフルエンザ等、発熱や咳が出る感染症が流行しやすくなります。
こうした感染症と新型コロナウイルス感染症の症状は非常に似ていて残念ながら見分けはつきません。たぶんコロナだ、いや絶対コロナではない等自己判断せず、まずはかかりつけ医等身近な医療機関になるべく平日日中に電話で相談してください。

それでは発熱などがあった際の受診や相談を受けることができる医療機関や受診方法をご案内します。
各都道府県における、相談・医療体制に関する情報や受診・相談センターの連絡先

▼厚労省のHPに掲載されている各都道府県の受診・相談窓口
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
※直接受診におる院内感染の予防の観点から、緊急時以外はまず事前の連絡を医療機関におこないましょう。
ただし、緊急を要するような以下の条件に当てはまる方は、すぐに受診を検討した相談をしましょう。

☆息が苦しい、水分や食事がほとんどとれないほどだるい、意識がぼーっとしたり、ぐったりしているなどのいずれかの症状がある場合
☆重症化リスクがある方で、発熱や咳などの風邪症状がある場合
☆高齢者をはじめ、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)など)がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方など

もし、夜間や休日に受診する必要がある場合はどこに相談すればよいのでしょうか。厚生労働省のHPに各都道府県の医療情報が掲載されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html
例えば、東京であれば救急受診の際は下記の「ひまわり」を参考に受診先を検討すればよいでしょう。
実際に電話相談などがあった際に、時間外・休日対応している医療機関が検索できますので積極的にご案内しています。
http://www.himawari.metro.tokyo.jp/qq13/qqport/tomintop/

☆上記以外の方で発熱や咳など風邪症状が4日以上続く場合は、なるべく平日日中に相談しましょう。

(2)無理せず仕事や学校を休みましょう。

体調不良時には、仕事や学校を休みましょう。大切な会食なども同様に中止としましょう。熱を下げるために解熱剤を飲んで出勤あるいは登校しても、感染を広げる可能性があります。ご本人だけでなく周囲の人への感染拡大の防止にもつながる大切な行動です。

◇家族が新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合の注意点

熱が出たときに、「コロナかも?」「家族に移さないか心配です」という声を聞きます。そのような時はどんなことに注意をすればよいのでしょうか。
まず、ご本人は外出を避けてください。ご家族、同居されている方も熱を測るなど、健康観察をし、不要不急の外出を避け、特に咳や発熱などの症状があるときには、職場などには行かないようにしてください。
ご家族に新型コロナウイルスの感染が疑われる場合には、同居されているご家族は以下の点に注意しましょう。

1.部屋などの空間を分けましょう
可能なら個室にしましょう。食事や寝るときも別室としてください。
小さいお子さんがいる、部屋数が少ない、部屋を分けられない場合には、2m以上の距離を保つこと、カーテンなどで仕切ることをお薦めします。寝るときは頭の位置が逆になるようにしましょう。

2.なるべく限られた方がお世話をしましょう。
心臓、肺、腎臓に持病のある方、糖尿病の方、免疫の低下した方、妊婦の方はお世話をするのは避けましょう。

3.マスクをつけましょう
使用したマスクは他の部屋に持ち出さないでください。
マスクの表面にはウイルスが付着しますので触れないようにしてください。マスクを外す際には、ゴムやひもをつまんで外しましょう。マスクを外した後は必ず石鹸で手を洗うあるいはアルコール手指消毒をおこないましょう。マスクが汚れたときは、新しいマスクと交換しましょう。マスクがないときなどに咳やくしゃみをする際は、ティッシュ等で口と鼻を覆いましょう。

4.こまめに洗いましょう
手を石鹸で洗いましょう。アルコール消毒をしましょう。感染の原因となるため、洗っていない手で目や鼻、口などを触らないようにしましょう。

5.こまめに換気をしましょう
風の流れができるよう、2方向の窓を、1回、数分間程度、全開にしましょう。換気回数は1時間ごとに2回以上しましょう。

6.手で触れる共有部分を消毒しましょう
物に付着したウイルスはしばらく生存します。ドアの取っ手やノブ、ベッド柵など共有部分は、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きしましょう。

※家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認し、濃度が0.05%(製品の濃度が6%の場合、水3Lに液を25㎖)になるように調整してください。
※トイレや洗面所は、通常の家庭用洗剤ですすぎ、家庭用消毒剤でこまめに消毒しましょう。タオル、衣類、食器、箸・スプーンなどは、通常の洗濯や洗浄でかまいません。
※感染が疑われる家族の使用したものを分けて洗う必要はありません。洗浄前のものを共有しないようにしてください。
※特にタオルは、トイレ、洗面所、キッチンなどで共有しないように注意してください。

7.汚れた寝具や衣服を洗濯しましょう
体液で汚れた衣服、寝具を取り扱う際は、手袋とマスクをつけ、一般的な家庭用洗剤で洗濯し完全に乾かしてください。
※便からウイルスが検出されることがあります。

8.ゴミは密閉して捨てましょう
鼻をかんだティッシュはすぐにビニール袋に入れ、室外に出すときは密閉して捨てください。その後は直ちに手を石鹸で洗いましょう。

(参考)
一般社団法人日本環境感染学会ホームページ
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/dokyokazoku-chuijikou.pdf
厚生労働省ホームページ:健康や医療相談の情報
https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kenkou-iryousoudan.html#h2_2